入れ歯

⼊れ⻭とは?

⼊れ⻭とは?

⼊れ⻭(義⻭)とは、⻭が抜けた部分に⼊れる取り外し可能な⼈⼯⻭のことです。

入れ歯には、総入れ歯と部分入れ歯の2種類があります。総入れ歯は全ての歯が欠損している場合、部分入れ歯は一部の歯が欠損している場合に使用されます。

入れ歯のメリット・デメリット

メリット

  • 外科手術を必要としないため、高齢者や慢性疾患を抱えている人でも治療できます
  • 保険が適用されるため、経済的な負担が軽減されます
  • 取り外し式なのでお手入れが簡単です
  • 残っている歯をほとんど削らずに済みます
  • 取り外して修理が可能です

デメリット

  • 硬い物など、⾷べ物をしっかり噛めないことがあります(⾃分の⻭の噛む⼒を100%とすると⼊れ⻭の再現率は20〜30%)
  • 違和感がでやすい
  • ブリッジやインプラントに⽐べて不⾃然に⾒えやすい
  • ⾷べ物や飲み物の冷たさ、熱さを感じにくい(保険の⼊れ⻭の場合)
  • ⾦属のバネが⾒える
  • バネをかける⻭に負担がかかる
  • 取り外して洗浄する必要がある(⼿⼊れが必要)
  • 装着中にズレたり外れたりする可能性がある
  • 発⾳が不明瞭になることがある
  • 破折するリスクがある
  • レジン床義歯は吸水性が高く、唾液を吸収します。吸水することで劣化や変色、着色汚れ、悪臭などの問題が生じる
  • 定期的に作り直す必要がある

⼊れ⻭の種類について

総⼊れ⻭とは

総⼊れ⻭とは

総⼊れ⻭とは、上もしくは下の⻭をすべて失った場合に使⽤する⼊れ⻭です。

総⼊れ⻭は、全ての⻭が抜けてしまった⽅や、⻭茎がしっかりしている⽅におすすめです。

部分⼊れ⻭とは

部分⼊れ⻭とは

部分入れ歯とは、歯を失った部分に装着する取り外し可能な人工歯です。

残っている歯にバネをかけて固定することで、噛む機能や見た目を回復します。

部分⼊れ⻭に最適なケース

  • 抜⻭になった部位の治療で⻭を削りたくない⽅
  • 噛みやすさなどにこだわりがない⽅
  • ⾦具が⻭の表側にきても審美的に気にならない⽅
  • 治療に費⽤がかけられない⽅
  • しっかりと⼿⼊れができる⽅

入れ歯の材質について

保険診療の場合

レジン床

レジン床

保険適用の入れ歯の素材は、アクリルレジンと呼ばれるプラスチックの樹脂です。総入れ歯の場合はすべてアクリルレジンで、部分入れ歯の場合は金属製のフックで固定されています。

費用が安く、歯を削らずに作成可能、修理が簡単というメリットがある一方、次のようなデメリットもあります。

それに対する位置に⼊れ⻭側に、磁⽯を密着するように埋め込むことで⼊れ⻭がはずれにくくなります。

  • 金属よりも強度が劣るため、厚く作られる
  • 厚みがあることで装着時に違和感が出る
  • 熱伝導率が低いため、熱さや冷たさを感じにくい
  • 乾燥すると内面に空洞ができて寸法が変化するため、変形する
  • レジン床義歯は吸水性が高く、唾液を吸収します。吸水することで劣化や変色、着色汚れ、悪臭などの問題が生じる

マグネット

マグネット

2021年9⽉1⽇から磁性アタッチメントの保険請求が認められるようになりました。

適切な保存処置を⾏った⻭の頭の部分に対し根⾯板を作成し、ダイレクトボンディング法によって「キーパー」と呼ばれる磁性ステンレス鋼を装着します。

それに対する位置に⼊れ⻭側に、磁⽯を密着するように埋め込むことで⼊れ⻭がはずれにくくなります。

磁性アタッチメントの特徴
  • 有害な側⽅⼒や回転⼒が発⽣しにくい
  • ⽀台⻭の⻭冠⻭根⽐が改善され、着⼒点が低くなります
  • 咬合時には義⻭床下⽪質⾻への応⼒緩和を図ることが可能です
  • クラスプを⽤いた義⻭に⽐較して⾦属⾊の露出が少ないです
  • 厳密な指向性がなく装着、撤去が容易です
  • 超⾼齢社会であるわが国では、今後更なる増加が⾒込まれる要介護⾼齢者の義⻭管理を考慮すると、安定した維持⼒,容易な装着と撤去という点で⾼い有⽤性があります
  • キーパー付き根⾯板周囲の⾃浄性が悪くなるため定期的な継続管理が必須です
  • ⼝腔、⾆、咽頭などの⼝腔周囲組織をMRIで検査する場合、アーチファクトを回避するためにキーパーの除去を要する場合があります
  • MRI検査時には、磁⽯構造体の設置された義⻭は検査室外に置いて検査を受ける必要があります
  • MRI検査においては、MRI画像にキーパー付き根⾯板によるアーチファクトが発⽣するため、MRI 検査対象となる疾患に応じてキーパー部分の撤去が必要となる場合があります

磁性アタッチメント義⻭の適応

①多数⻭⽋損症例 9⻭以上の部分床義⻭、⼜は全部床義⻭に相当するオーバーデンチャー
②遊離端⽋損症例 ⽚側の⼤⾅⻭全て⼜はそれ以上の⽋損があるもの

①②いずれの場合においても、支台歯数はクラスプを含めて、片顎1~4歯となる症例です。

磁性アタッチメントができない場合

  • 歯がない方
  • キーパー周囲の口腔清掃(歯磨き)を行えない方
  • 根っこの治療(根管治療)の状態が不適切である場合
  • 金属を用いるため、金属アレルギーの方
  • 歯周組織の状態が不良な場合
  • 継続的な義歯の管理が行えない場合
  • 対合歯列とのスペースが狭く、義歯床の破折を生じる恐れのある症例
  • 全身的な既往からMRIによる頭部の検査を高頻度で要すると考えられる症例

磁性アタッチメントを適⽤する
⽀台⻭の基準

  1. ⻭内療法により適切な保存処置が⾏われている⻭であること
  2. ⻭冠補綴をした場合,臨床的⻭冠⻭根⽐が 1:1 以下となること臨床的⻭冠⻭根⽐を計測する臨床的⻭冠⻭根⽐が1:1以上の⾻植の良好な⽀台⻭であっても磁性アタッチメントを適⽤する場合もあるが、クラウンの⽀台⻭としては1:1以上であることが望ましく、1:1以下の場合には⽀台⻭の処置が必要であり磁性アタッチメントが有効です。
  3. ⻭周組織の状態が安定した状態であること予後の観点から⽀台⻭の⻭周組織の状態が安定した状態であることが必要であり、原則として以下の状態をいずれも満たすことが望ましいです。
  4. ⻭の動揺度が1度(Millerの分類)以下であることただし⽀台⻭の⾻植に不安があり唇⾆または頬⾆⽅向に動揺を伴う場合(動揺度2度程度)においても⽀台⻭の負担を軽減することにより適⽤となります。
  5. ⻭周ポケットの深さが3mm以下であること

⾃費の場合

⾦属床

金属床義歯は、入れ歯の床部分に金属を使用した義歯で、薄くて耐久性が高く、装着時の違和感が少ないことが特徴です。

金属床義歯の特徴は次のとおりです。

  • 発音や味覚への影響が少ない
  • 長期間使用できる(丈夫なので壊れにくい)
  • 熱伝導率が高いため、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく感じられる
  • 上あごのケースでは、薄くなったり、開放部分が広くできたりで、舌触りが自然になる
  • 薄く仕上げる事ができるので違和感が少なく、お口の中が広く感じる

⾦属床義⻭の素材には、チタンやコバルトクロムなどが使⽤されます。

⾦属床義⻭のデメリットは次の通りです。

  • ⾼額な費⽤がかかる
  • 製作に時間がかかる
  • 硬いがゆえに調整や修理が難しい
  • ⾦属アレルギーがある場合は使⽤できない

入れ歯完成までの流れ

入れ歯完成までの流れ
  1. カウンセリング⻭を失った部分の治療法には、⼊れ⻭、ブリッジ、インプラントがあります。どの治療が適しているか患者様と相談し決定していきます。⼊れ⻭の中にも種類がありますので患者様のご希望に合うものを選んでいきます。
  2. 型取り必要な箇所の型取りを⾏います。保険外の⼊れ⻭を選択された場合は患者様の⼝に合わせた専⽤のトレーと材料を使⽤し精度を⾼めます。
  3. 噛み合わせの⾼さの記録噛み合わせの記録を正確にとります。この時に最終装着時のお顔の⾒え⽅や⼝の中の違和感がないか確認します。
  4. 試適完成前の⼊れ⻭を⼝の中で確認します。⾒え⽅に問題がないか、噛み合わせに問題がないか。また、発⾳や嚥下も確認します。
  5. 完成完成した⼊れ⻭を装着します。再度、噛み合わせや⻭茎とのあたりを確認します。⻭茎の形は少しずつ変化するため、使⽤していただきながらその都度調整が必要になります。
  6. 調整⼊れ⻭を実際に使っていただいて気になるところがあれば調整致します。

⼊れ⻭のメインテナンスについて

歯茎は変化するため入れ歯との伱間ができてくる場合があります。そうすると入れ歯が緩く感じたり、こすれて痛みがでてきます。

そのため都度調整が必要になります。3ヶ月~半年程度でのメンテナンスをお勧めします。