口腔がん

⼝腔がんとは

⼝腔がんとは

口腔がんとは、口腔(口の中)にできる悪性腫瘍です。

⾆、上下の⻭⾁(⻭ぐき)、頬の粘膜(ほっぺたの粘膜)、⼝蓋(上あご)、⼝底(⾆と下の⻭ぐきの間)、⼝唇(くちびる)など、⼝の中にはどこでもがんができます。

数字で見る口腔がん

⼝腔がんの部位の割合

部位別発生率については、舌(47.1%)、下顎歯肉(18.4%)、上顎歯肉(11.9%)、頬粘膜(8.6%)、口底(6.6%)、硬口蓋(2.6%)、下顎骨中心性(1.7%)、下唇(0.8%)となっており、口腔癌の中では舌癌が1番多いです。※2020年口腔癌登録より

⼝腔癌になりやすい年齢

⽇本における⼝腔がんの年齢的な特徴は、年齢別では、70歳代が⼀番多く29.1%、60歳代 26.5%、50歳代が18.1%となり、50歳以上が約80%を占めています(2002年度の統計)

⼝腔癌の性別の割合

男⼥⽐は、3:2程度と男性に多くみられます。

⼝腔がんに罹患する⼈の数

⼝腔がんに罹患する⼈の数は、年間11000⼈ほど(2016年)で、がん全体の約1%ですが、⽇本国内のみならず、世界的に⾒ても、罹患率、死亡率とも上昇傾向にあります。

⼝腔癌の罹患率

口腔がんの罹患数は、高齢化に伴い増加しています。2020年には、口腔・咽頭がんの罹患数は22,052例(男性15,490例、女性6,562例)でした。

口腔癌の死亡数

2022年の口腔・咽頭がんの死亡数は8,429人(男性5,960人、女性2,469人)でした。

⼝腔癌の死亡率

口腔がんの死亡率は、2016年の国立がん研究センターのデータでは35.5%でした。

口腔癌の5年生存率

口腔がんの5年生存率は、ステージによって異なります。ステージI:90%以上、ステージII:約70%、ステージIII:約60%、 ステージIV:約40%です。

口腔がんは、早期発見・早期治療で治すことができます。初期症状のうちに発見できれば、簡単な治療で治すことができ、後遺症もほとんど残らないと言われています。

口腔癌の死亡率が高い原因

口腔がんは初期には痛みや出血がないため、発見や治療開始が遅れがちです。初期症状のうちに発見すれば簡単な治療で治すことができ、後遺症もほとんど残ることはありません。口腔がんの早期発見のためには、口腔がん検診を受けることが大切です。

米国では半年に一度、口腔癌検診の受診が義務化されています。アメリカの人口は約3.3億人、日本の人口は1.2億人です。にもかかわらず口腔癌の死亡率はアメリカ19.8%、日本 35.5%です。

日本の口腔癌患者の死亡率が高い原因は高齢化と口腔癌検診の普及が不足している事だと考えております。

口腔癌の原因

口腔癌の原因

⼝腔がんの原因には、喫煙や飲酒、⼝腔内の不衛⽣、⾍⻭や義⻭による慢性的な刺激などがあります。

喫煙

  • タバコの煙には発がん性物質が多く含まれているため、喫煙者は⾮喫煙者と⽐べて⼝腔がんのリスクが⾼いです
  • 「⼝腔がん」が発⽣する最⼤のリスクファクターは喫煙です。喫煙者の⼝腔がん発⽣率は⾮喫煙者に⽐べ約7倍も⾼く、死亡率は約4倍も⾼いとされています
  • 周囲の⼈が吸っている副流煙にも発がん性物質が含まれているため、タバコを吸わない⼈も注意が必要です

飲酒

  • 蒸留酒、ワイン、ビールなど、過度の飲酒は⼝腔がんのリスクを⾼めます
  • タバコとアルコールの同時摂取は、発がん性物質を⼝腔内に吸収しやすいため、⼝腔がんの危険性が⾼いと⾔われています
  • 喫煙に次ぐリスクファクターとなるのが飲酒です※

※特に50歳以上の男性で、毎⽇たばこを吸い、なおかつお酒も飲まれる⽅は最も危険です。飲酒時の喫煙は、たばこに含まれている発がん性物質がアルコールによって溶けて⼝腔粘膜に作⽤するため、よりリスクが⾼くなると考えられています。

⼝腔内の不衛⽣

  • ⻭磨きをしていない、⼝のなかが乾燥している、治療していない⾍⻭があるなど、⼝腔内が細菌などで汚染されていると⼝腔がんを発症しやすくなります
  • 進⾏した⾍⻭をそのままにしていたり、合わない⼊れ⻭を無理して使っていて⾆や頬を傷つけていたりすると⼝腔がんが発⽣しやすくなります
  • 傾いていたり、位置がずれていたりする⻭並びが悪い⻭を放置すると、⾆や粘膜に慢性的な刺激を与えるので⼝腔癌の発症リスクが上がります

口腔癌の症状について

口腔癌の症状について

口腔がんの初期症状は、口内炎のような症状や、粘膜の白い病変、赤い病変、食事でしみる、入れ歯が合わない、しこりがある、口臭がするなどです。初期の段階では痛みはほとんどなく、口内炎と似ているため、癌かどうかを見極めるのは困難です。

舌や口の中の粘膜が赤くただれたりする症状は口腔がん・舌がんに特有のものではなく、口内炎や歯周病などでも現れます。

そのため、自覚症状だけでがんかどうかを見極めるのは困難です。口の中の症状がなかなか治らない場合や悪化する場合は、できるだけ早めに口腔外科を受診するようにしましょう。

口腔癌の症状

  • ⼝内炎が2週間以上経っても治らない
  • ⾆やほっぺの粘膜にしこりがある
  • ⾆や⼝の中の粘膜が⽩くなっている
  • 表⾯がざらざらしたできものがある
  • 出⾎しやすい⼝内炎がある
  • 抜⻭した後の⻭茎の治りが悪い
  • ⼝臭がする
  • ⻭⾁の腫れや出⾎がある
  • ⻭がぐらつく

⾃⼰判断で癌かそうでないか判断をつけるのは困難です。⼝の中の症状がなかなか治らない場合や悪化する場合は、できるだけ早めに⼝腔外科を受診するようにしましょう。

⼝腔癌の治療について

治療方法は、がんのステージや患者さんの状態などを考慮して決めていきます。口腔癌は手術で切除する方法が治療の中心となります。

手術でがんが取りきれなかった場合や再発のリスクが高いと考えられる場合は、手術後に薬物療法(抗がん剤治療)や放射線治療が行われることがあります。

⼝腔癌の検診⽅法

口腔癌の検診では、視診と触診を行います。視診では、舌や粘膜を直接観察し、癌が疑われる部分の色や形、大きさを確かめます。触診では、口の中に指を入れ、癌が疑われる部分に直接触れてがんの大きさや広がりを調べます。さらに、耳の下から♛にかけて触診し、リンパ節の腫れがあるかどうかも確かめます。

視診や触診によって口腔癌・舌癌が疑われる場合、診断を確定するために組織診(生検)や細胞診を行います。組織診は疑わしい部分の組織の一部を採取する方法で、細胞診はブラシや綿棒などで粘膜の表面をこすって細胞を採取する方法です。採取した組織や細胞は顕微鏡で詳しく観察し、がん細胞の有無やがんの種類を調べます。

なぜ日本では
口腔がんが増えているか

米国では半年に一度、口腔癌検診の受診が義務化されています。アメリカの人口は約3.3億人、日本の人口は1.2億人です。にもかかわらず口腔癌の死亡率はアメリカ19.8%、日本35.5%です。

日本の口腔癌患者の死亡率が高い原因は高齢化と口腔癌検診の普及が不足している事だと考えております。

ひかりのき歯科クリニックつくばでは口腔外科認定が口腔癌検診を行っております。口腔癌は早期の発見が重要ですので、ぜひ一度ご来院ください。

⼝腔がんを
早期に発⾒するためのサイン

  • ⼝内炎のような症状
  • 粘膜の⽩い病変、⾚い病変
  • ⾷事でしみる
  • ⼊れ⻭が合わない
  • しこりがある
  • ⼝臭がする

初期の段階では痛みはほとんどなく、⼝内炎と似ているため、癌かどうかを⾒極めるのは困難です。

⾆や⼝の中の粘膜が⾚くただれたりする症状は⼝腔がん・⾆がんに特有のものではなく、⼝内炎や⻭周病などでも現れます。

そのため、⾃覚症状だけでがんかどうかを⾒極めるのは困難です。⼝の中の症状がなかなか治らない場合や悪化する場合は、できるだけ早めに⼝腔外科を受診するようにしましょう。

前癌病変とは

前癌病変とは

⽩板症

白板症は、舌や歯肉、頬粘膜などによくみられる白斑状のざらざらした病変白い部分が板状に厚くなり、こすっても取れないのが特徴です。

特徴

  • 約10%が癌化する。(とくに舌にできたものは悪性化率が高い)
  • 粘膜の最も外側の上皮が肥厚(細胞数が増えて膨らんだ状態)するので、その下の毛細血管が透けて見えなくなり、結果的に白く見える状態
  • 基本的に痛みはないがびらんや潰瘍を伴う場合は痛みを伴う
  • こすっても取れない(取れる場合はカンジダ症の可能性)
  • 出血はしない(出血する場合は癌の可能性)
  • 原因はアルコール、タバコ、不良補綴物、歯並びが悪いこと、ビタミンA、Bの不足、加齢など
  • 高齢者に好発し、50~70歳代に多く、性別では男性に多い傾向があります

治療

不良補綴物・義歯や大きな虫歯、悪い歯並びがある位置が白板症発生部位と一致していて、それらが原因と考える場合は除去、治療して経過観察します。

表面が不均一な場合や異形がある場合は擦過細胞診を施行したり、診断を確定するために病変の一部を切り取り病理組織検査を行う場合があります。均一型で異形がない場合はしばらく経過観察します。

  • 喫煙や過度の飲酒を控える
  • 刺激の強い食べ物の摂取を避ける

紅板症

紅板症(こうばんしょう)は、舌や歯肉などの口腔粘膜に発生する前癌病変です。

鮮やかな紅色でビロード状の斑点として現れ、表面は平滑な病変です。刺激痛を伴うことが多いです。

特徴

  • 舌や歯肉の粘膜が薄くなることで、鮮やかな紅色になります(下にある毛細血管がより見えやすくなるため、赤く見えます。)
  • 刺激痛を自覚することが多く、これは病変部の粘膜が薄くなることによります
  • 50~60歳代に発症する頻度が高い
  • 約50%以上の紅板症で癌に移行する非常に注意を要する前がん病変

治療

  • 癌化率の高さを考慮して外科的切除を行います
  • その後に長期的に経過観察を行っていきます

扁平苔癬

⼝腔粘膜に慢性的な炎症が起こり、⽩いレース状の模様となって現れます。頬粘膜が好発部位ですが、⾆、⻭ぐきにも⾒られることがあります。

⾃覚症状は、刺激痛、⼝の荒れを感じることがあります。お⼝の外にも発症することがありますが、お⼝の中では慢性の経過をたどり、多くは出来たり消えたりを繰り返します。

癌化する確率は0.4〜5%とされています。

通常⼝内炎は、1〜2週間くらいで治るものですが、いつまでも治らない、出⾎する、痛みが続く、盛り上がってきた、硬い部分がある、などの症状がある場合は、ご相談ください。

特徴

  • ⼥性に多い
  • 80〜90%は頬粘膜にできる
  • ⼝腔粘膜に幅1〜2mmぐらいのレース状、網状の模様を呈し、⽩い線状の内側には発⾚やびらんを認めますが、この網状模様は⽇時の経過とともに⾚みを帯びたり、その形状を変える
  • 接触により出⾎し痛みも伴う事もある
  • 左右対称に⾒られる事が多い
  • 刺激痛、⼝の荒れ、灼熱感を感じることがあります
  • 口腔扁平苔癬の原因は明確にはわかっていませんが、遺伝や免疫、歯科金属によるアレルギー、ストレスなどの要因が関係していると考えられています

治療

口腔扁平苔癬の治療には、ステロイド軟膏の塗布や、うがい薬の使用、レーザー治療、金属の交換などがあります。症状を和らげる対症療法が中心で、難治性のため長期にわたる治療が必要になる場合があります。

ステロイド軟膏の塗布 炎症を和らげ、かゆみや腫れを緩和します
うがい薬の使用 アズノールやネオステリングリーン、イソジンなどのうがい薬を使用し、口腔内の清潔を保ちます
金属の交換 金属製のかぶせ物が原因となっている可能性がある場合は、歯科用金属の除去を行います
ビタミンAの摂取 ビタミンA(チョコラA剤)、ビタミンA酸(チガソン)の内服が効果的です

口腔扁平苔癬は一度良くなっても再発を繰り返す慢性疾患です。自覚症状がなければ、治療をおこなわずに経過観察をしていくこともあります。

その他疾患

その他疾患

カンジダ症

カンジダ症とは、真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌によって起こる感染症です。皮膚や粘膜、口腔、消化管、膣などに存在する常在菌が、抵抗力が低下したときに増殖して発症します。

特徴

カンジダ菌は口腔内の常在菌で多くの人が保有しており、健康であれば口腔カンジダ症を発症することはありません。

日和見感染症といって、免疫力が低下すると発症します。具体的にはがん、糖尿病、ステロイドの服用、加齢などで免疫力が低下します。

また、菌交代現象といって、抗生剤の長期服用などでも口腔内の常在菌のバランスが崩れることで発症します。

また唾液量の低下や義歯がカンジダ菌の温床になる場合もあります。

症状としては、頬粘膜など口腔粘膜や舌の表面に白い苔状のものが付着し、一部で赤く腫れ、痛みを伴うこともあります。 カンジダ症で見られる白い部分は拭うと取れることが特徴です。

治療

カンジダ症の治療には、抗真菌薬の投与が一般的です。うがい薬や軟膏、内服薬などがあり、数日のうちに治ることも多いです。

カンジダ症の再発防止には、口腔衛生状態の改善や体力(免疫力)の回復が重要です。

再発性アフタ

アフタは直径数ミリ大の円形の浅い潰瘍で、潰瘍の表面は灰白色~黄白色の偽膜で覆われ、潰瘍の周囲は赤くなっています。

アフタは何もしなくても1~2週間で治りますが、再発を繰り返す場合があります。

原因

再発性アフタの原因は明らかにはされていませんが、次のような原因が考えられます。

  • 栄養素の欠乏(鉄、ビタミンB12、葉酸など)
  • ストレスや疲労による免疫力の低下
  • 睡眠不足
  • ホルモンバランスの乱れ(女性の場合)
  • 口腔内の外傷(歯の鋭縁、義歯や補綴物の不正、歯石など)
  • 胃腸障害、自律神経失調
  • 喫煙、薬物
  • アレルギー

治療

副腎皮質ステロイド薬入り軟膏や口腔粘膜貼付錠、うがい薬を投与。

エプーリス

エプーリスとは、歯肉にできる良性の腫瘤(しゅりゅう)の総称で、歯肉腫とも呼ばれます。

特徴

  • 唇や頬側の⻭間乳頭部⻭⾁に好発する
  • 20〜40歳代の⼥性にやや多い
  • 半球状、卵円状、半⽉状などの形をしている
  • 初期段階では痛みを感じないことが多く、⻭磨きや⾷事中に違和感を覚える程度
  • 腫瘍が⼤きくなると、隣接する⻭を押し広げるようになり、⼝腔内の不快感が増す
  • 色はピンクや⾚みがかっている
  • ⽐較的硬い

原因

  • 不適合なインレーやクラウン、入れ歯などの慢性的刺激
  • 女性ホルモンの乱れ
  • 女性ホルモンの乱れ(エプーリスの症状は男性よりも女性に多くみられ、その数およそ2倍と言われています)
  • 口腔内の慢性的な汚れ、歯垢や歯石などによる不衛生な口腔内環境

治療

エプーリスの治療法は、主に外科的切除です。

歯肉に発生した腫瘍を除去することで、再発を防ぐことが期待されます。

発生場所の組織(歯根膜・歯槽骨・骨膜)を含めて切除術が必要となります。

歯根膜から発生している場合には原因歯の抜歯が必要になります。発生部位を含めずに切除すると再発します。

ヘルペス性⼝内炎

ヘルペス性口内炎は、単純ヘルペスウイルスに感染することで発症する口内炎です。口内炎や唇、のどなど幅広い場所に症状が現れ、発疹や水ぶくれ、強い痛みなどを伴います。

特徴

  • 唇やその周辺にピリピリとした違和感や痛みを感じる
  • 発熱や全身のだるさ、食欲不振などの全身症状を伴う
  • 口腔内の症状だけでなく、顔面のリンパ節が腫れる
  • 水分や食事が取りづらくなり、唾液が多く出る
  • 唾液や飛沫感染によって人にうつります。感染力の強い病気なので、症状が出ている間はキスやほおずりなどの密着した接触を避けるべき
  • 口の粘膜に小水疱が形成される

原因

  • ヘルペスウイルスに感染した人の唾液や水ぶくれなどに接触する
  • ヘルペスウイルスに感染した人の使用した食器やタオルなどを共有する

治療

  • 抗ウイルス薬による治療
  • 副腎皮質ホルモン剤による痛みを和らげる治療

※ヘルペス性口内炎は、一度感染するとウイルスが体内に潜伏するため、再発する可能性があります。再発を繰り返すごとに症状が軽くなる場合がほとんどです。

帯状疱疹

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる皮膚疾患です。水ぼうそうにかかった後にウイルスが体内に残っており、免疫力が低下したときに発症します。

特徴

  • 右半身、左半身どちらかの神経に沿った皮膚のピリピリ、チクチクした痛みや違和感、かゆみなどが挙げられます。神経の炎症が原因となり、皮膚に痛みを感じます
  • 痛みが出た部分に赤い発疹や水ぶくれが現れる
  • 水ぶくれが破れて潰瘍になる場合がある
  • かさぶたとなって皮膚症状が治癒する
  • 皮膚症状が治癒した後も痛みが残る場合がある(帯状疱疹後神経痛)

治療

帯状疱疹の治療には、抗ウイルス薬や痛み止めが用いられます。また、安静と栄養バランスのとれた食事を心がけることも大切です。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、発熱と⼝腔粘膜に⽔疱性の発疹が現れる急性のウイルス性咽頭炎です。乳幼児を中⼼に夏に流⾏し、夏かぜの代表的な疾患です。

症状

  • 3~6日の潜伏期の後、突然39~40℃の高熱が出る
  • 咽頭の粘膜が赤くなる
  • 上あごの粘膜やのどの奥に直径1~2mmの小水疱が出る
  • 小水疱が破れて浅い潰瘍になり、痛みを伴う
  • 全身倦怠感、食欲不振、嘔吐、四肢痛などがある場合もある

原因

主にコクサッキーウイルスA群、コクサッキーウイルスB群、エコーウイルスなどのエンテロウイルス属のウイルスによる感染症。

感染経路

  • かかった人の咳やくしゃみ、唾などに含まれるウイルスによって感染する
  • 水疱の内容物や便に排出されたウイルスが手などを介し、口や眼などの粘膜に入って感染する

治療

エンテロウイルスそのものに効果がある抗ウイルス薬は存在しないため、対症療法が主な治療法です。

発熱や頭痛には解熱鎮痛作用がある内服薬を使用する場合があります。

妊娠性口内炎

妊娠性口内炎とは、妊娠中に起こる口内炎です。妊娠中はホルモンバランスの変化や免疫力の低下などにより、口内炎ができやすくなります。

妊娠中に口内炎ができる原因としては、次のようなものがあります。

  • ホルモンバランスの変化による免疫力の低下
  • ストレスによる血行不良や粘膜の回復力の低下
  • つわりによる食事の偏りや口腔ケア不足
  • 唾液の分泌の減少による口内の自浄作用の低下

妊娠中に口内炎を予防するには、十分な睡眠や栄養バランスのよい食事、ストレス解消など、生活習慣を見直すことが大切です。

口内炎の治療薬には、飲み薬、塗り薬、貼り薬、スプレー薬などさまざまなタイプがあります。市販薬を使用する前には、念のため主治医に相談しましょう。

妊娠中、授乳中ともステロイド外用薬は通常の使用であれば安全であり、胎児/乳児への影響を心配することなく使用してよいと考えられています。

しかし、強いランクの ステロイド外用薬を大量・長期使用することは出生時体重を低下させる可能性があるので、避けるべきとされています。

妊娠性⻭⾁炎

妊娠性歯肉炎とは、妊娠中に起こる歯茎の炎症で、歯周病の一種です。妊娠中の女性に多くみられ、歯ぐきの腫れや痛み、出血などの症状が現れます。

原因

  1. 女性ホルモンが関係妊娠中は、女性ホルモンが多く分泌される時期です。
    女性ホルモンの中でもエストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンが、口の中にトラブルを起こす原因です。
    エストロゲンは、特定の歯周病菌(Prevotella intermedia)の栄養源になり、菌を増殖させます。
    数を増やした菌は毒素を出して歯茎をつくる細胞を攻撃するので、歯と歯茎の間に歯周ポケットという隙間ができたり、歯茎が腫れて血が出たりするようになります。
    もうひとつのプロゲステロンは、血管の壁を緩くするのが特徴です。その影響で細菌が血液中に入り込んで、歯茎が腫れやすくなります。
  2. 悪阻(つわり)が酷くて、歯磨きができない
  3. 唾液の減少唾液には口の中を潤すだけではなく、食べカスや細菌を洗い流す洗浄作用、菌の増殖を抑える抑制作用の働きをする役割があります。
    しかし、妊娠をきっかけに女性ホルモンの影響を受けて、唾液の出る量が減ることがあります。
    そうなると口の中が乾燥しやすくなったり、食べカスが残りやすかったりと細菌が増えやすい環境になり、妊娠性歯肉炎が発症しやすいです。

治療

妊娠性歯肉炎の治療は、歯磨きなどのセルフケアと歯科医院での定期的なクリーニングを基本とします。

舌線維種

舌線維腫は、舌にできる良性の腫瘍で、主に慢性的な物理的刺激が原因です。歯や義歯による刺激が原因となることが多く、舌の側面や先端に見られます。

治療

舌線維腫の治療は、外科的な切除が基本です。切除手術は局所麻酔下で行われ、手術時間は短いです。